研究報告
8.32016
アンケート調査による「銀線細工」の認知度及びイメージ調査 ―秋田銀線細工に関する基礎的研究1(前半)―
2014年に行った「アンケート調査による「銀線細工」の認知度及びイメージ調査」の結果を前半・後半にわけて紹介いたします。
目的
1 被調査者の属性
2 「銀線細工」の認知度と実見の有無
3 秋田県の「国指定伝統的工芸品」4品と「銀線細工」の認知度比較
4 「銀線細工」を知る契機と見かけた場所
5 「銀線細工」のイメージ分析 (自由記述)
6 「銀線細工」のイメージ分析 (イメージカテゴリーの数値化)
1 被調査者の属性
今回のアンケートでは、10~70代の男女385人からの回答が得られた。被調査者のうち男性は139人(36.1%)、女性は246人(63.9%)である(表1)。
また、被調査者を年齢別に分類すると10代242人(62.9%)、20代21人(5.5%)、30代14人(3.6%)、40代33人(8.6%)、50代34人(8.8%)、60代26人(6.8%)、70代13人(3.9%)となっており、10代が全体の6割を占めていることがわかる(表2)。
アンケートでは「出身地」と「これまでに住んだことのある都道府県」についてもたずねたが、今回のアンケート調査では秋田県出身者及び、秋田県に住んだことのある回答者はいなかった。
2 「銀線細工」の認知度と実見の有無
「銀線細工」という言葉について「知っている」、「知らない」の二者択一でたずねたところ、56人(14.5%)が「知っている」と回答した。年齢別に分析すると10代のうち「知っている」と答えた回答者は(9.1%)、以下同様に20代(19.0%)、30代(7.1%)、40代(9.1%)、50代(22.9%)、60代(53.8%)、70代(26.7%)となり、「銀線細工」という言葉の認知は60代が最も高いことがわかった(表3)。
また、銀線細工の画像を見せ、見たことがあるかどうかについて「ある」、「ない」の二者択一でたずねたところ、129人(34.0%)が「ある」と回答した(画像・映像を含む)。年齢別に分析すると10代58人(24.1%)、20代8人(38.1%)、30代3人(21.4%)、40代8人(24.2%)、50代20人(58.8%)、60代22人(88.0%)、70代10人(90.9%)となり、70代が最も高く、銀線細工を見かける機会は年齢と共に上昇傾向にあることがわかった(表3)。
3 秋田県の「国指定伝統的工芸品」4品と「銀線細工」の認知度比較
『「産地」別認知状況調査結果』((財)伝統的工芸品産業振興協会,2006)によると、秋田県で国指定伝統的工芸品に指定されている4品(大館曲げわっぱ、樺細工、秋田杉桶樽、川連漆器)について「知っているか」どうか、一般消費者3,000名を対象に調査したところ、大館曲げわっぱ(47.9%)、樺細工(9.3%)、秋田杉桶樽(9.1%)、川連漆器(2.9%)という結果になった。
『「産地」別認知状況調査結果』((財)伝統的工芸品産業振興協会,2006)と『アンケート調査による「銀線細工」の認知度及びイメージ調査』((社)LINK SUPPORT,2015)を比較すると、「銀線細工」の知名度は「大館曲げわっぱ」に次いで高いことがわかる(表4)。
秋田県指定の伝統的工芸品には、秋田銀線細工の他に、イタヤ細工、川連こけし、大曲の花火の3品があるが、これら3品に関する認知度調査は現状、確認できていない。
アンケート調査による「銀線細工」の認知度及びイメージ調査 ―秋田銀線細工に関する基礎的研究1(後半)―