研究報告

【秋田銀線細工】秋田市指定無形文化財の指定・秋田県指定伝統的工芸品の指定について

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 秋田県伝統的工芸品の指定

伝統的工芸品の名称
 秋田銀線細工

伝統的な技術又は技法の内容
 (1) 線よりは、細い銀線2~3本を、すり板を用いて縄状の線になるようより合わせること。
 (2) ロールかけは、より線の両脇に波状形が残るように上下をつぶして平らにすること。
 (3) 銀線で枠作りすること。
 (4) 平戸作りは、つぶしたより線を指先及びピンセットを用いて枠の大きさになるまでに渦巻き状に巻くこと。
 (5) 平戸を枠の中にはめ込む平戸入れの後、銀ロウで枠及び平戸のロウ付けをし、パーツを作ること。
 (6) パーツの寄せ合わせをし、形を作っていくこと。
 (7) 不純物を希硫酸で洗い落として色仕上げをし、乾燥させること。
 (8) 仕上げは、金棒を用いて研ぎ、錆止めをすること。

伝統的に使用された原材料
 銀 真鍮 ホウ砂

指定年月日
 平成8年(1996)2月26日

指定団体の名称
 秋田銀線部会
 1. (株)竹谷本店
 2. (株)細川貴金属店
 3. (有)伊藤貴金属店
 4. 銀線細工すとう
 5. 金銀線工房しんどう
 6. 和田貴金属店
 7. 篠田宝飾
 8. 豊島宝飾
 ※指定書記載順
 (注) 部員名簿は平成8年秋田県知事から指定を受けた当時のもの 

 秋田市指定無形文化財の指定

指定年月日
 平成8年3月11日

所在地
 秋田市

保持団体
秋田銀線細工技術伝承保存会-会員表
沿 革
 秋田藩では院内や阿仁などの鉱山から産出する良質の銀を使用して、刀装具や装身具などの細工物の製作が盛んに行われていた。秋田銀線細工は「平戸細工」とも呼ばれ、名古屋打ちと呼ばれる髪飾りの技法に平戸の繊細優美な銀細工の技法を導入したと考えられている。
 銀線細工の特徴は、銀固有の色彩とその輝き、貴金属としての風格、伝統に培われた精緻な技法、製品から受ける軽快さと清潔感などが上げられる。ブローチ・ペンダントなどの洋装アクセサリーなどが多く製作され、伝統的な工芸品として、また地方的特色の顕著な工芸技術として極めて貴重である。

製作技術
 1. 地金吹き
  純銀は柔らかすぎるため、割金(銅5%)を入れて加工する。
 2. 加工工程
  (1) 銀線作り    銀の延板から銀線を作る
  (2) 線撚り径    0.2~0.3mmの銀線を2~3本撚り合わせて縄状の撚り線にする
  (3) ロールかけ   ロールでたたいて平らにする
  (4) 枠作り径    0.5~1mmの銀線で枠を作る
  (5) 平戸巻き    ロールにかけた撚り線をピンセットや手で渦巻状に巻く
  (6) 平戸のはめ込み 渦巻状に巻いた平戸を枠にはめ込む
  (7) 鑞付け     銀と真鍮を混ぜて溶かしたものを粉にし、焼硼砂と水ですり合わせて接合部につける
  (8) 寄せ合わせ   鑞付けしたパーツを合わせて草花・動物等を形作る
  (9) 色上げ     不純物を希硫酸で洗い落とす
  (10) 仕上げ

指定の要件
 1. 材料は、地金吹きを行った銀線を用いていること。
 2. 製作は、伝統的な技術によっていること。
  (1) 工程は、全て手作業によっていること。
  (2) 接着は、銀鑞を用いていること。
 3. 伝統的な秋田銀線細工の作調等の特質を保持していること。

出典:『秋田市指定無形文化財秋田銀線細工について』秋田市(1996)

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